ジャニー喜多川さんの訃報に寄せて、ジャニーズのアイドルを通して感じたこと。

昨晩、イヤホンで曲を聴きながらTwitterのタイムラインをゆるく眺めて眠りの世界に入ろうとしていたところ、突然ジャニー喜多川さんの訃報が目に飛び込んできた。

その時に聴いていた曲はKing & Prince(正確に言うとPrince)の「Prince Princess」という曲だったのだけれど、ちょうどサビの一番気持ちが盛り上がる部分で予期せぬ訃報を目にして、目から涙が溢れて止まらなくなってしまった。有名人の訃報で泣くことは滅多になかったのだけれど、ジャニーさんに関しては以前から病態が思わしくないという噂をちらほらと聞いていて、「ダメだったのか」というショックもこみ上げてきた。

自分とジャニー喜多川さんは何の関わりもない。しいていうなら自分がジャニーさんが選んだタレントのファンだということくらいで、ずっと好きな嵐にしろ、最近好きなKing & Princeにしろ、自分が「素晴らしいな」と思ってしまうアイドルには必然的にジャニーさんが関わっているという因果関係があることくらいだ。そしてジャニーさんのエピソードは毎日のように様々なタレントから面白おかしく語られているため、自分も親戚のおじさんを見ているような気持ちになってしまうのである。なんかよく分からないけど、きっと面白いおじさんなんだろうな、と。

ネット上にはジャニーさんの良い話も醜聞も渦巻いていて、実際この人がどんな人なのか、善人なのか悪人なのか普通の人なのかについては自分は知る由もない。会ったこともない、喋ったこともない、一方的にしか存在を知らない。それでも、好きなアイドルがジャニーさんについて話しているのを見ると、この人にとってはジャニーさんは素敵な存在なんだろうなと思ってしまうし、聞いている自分も微笑ましい気持ちになってしまうのである。

男性アイドルを敬遠していた自分をジャニーズの世界に連れ込んでくれたのは嵐だったのだけど、嵐のコンサートのDVDを初めて見た時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。それまでアイドルとは操り人形のような存在で、与えられたことを良い意味でも悪い意味でも与えられた通りにこなす存在だと思っていた。必要最低限の歌とダンスとルックスさえあればそれだけで成り立つ人たちだと思っていたのだけれど、ジャニーズのコンサートはそれらの概念を大きく上回っていて、アイドルが自らやりたいことをやっていた。言葉にしてみると普通なのだけれど、全てに意味があり、自主的な意志を持って行われている演出の数々がとても眩しく見えたし、価値観が変わるくらいの衝撃を受けた。恐らく、ジャニーズのライブの映像を一度でも見たことがある人とない人では、ジャニーズアイドルの受け取り方も随分と違うのではないだろうか。さらに実際に行った人と行ったことのない人の間でも大きな差があるのだろうな、と、行ったことのない人間としては思ったりもする。

自分にとってのジャニー喜多川さんとは、直接ではなくとも自分の思考に何かしらの影響を及ぼしている人だった。それらのほとんどは本人ではなくジャニーズ事務所に属するアイドル経由で受け取ってきたもので、ジャニーさんが居なくなってしまった世界がこれからどう変化するのかは分からないけれど、ファンもタレントも今まで受け取ってきたものをずっと大事にしていくことは確かなのではないか、と思う。

なぜあれほどの数のアイドルをプロデュースして世に送り出すことが出来たのか、と考えたのだけれど、それは多分心底好きなことだったからなのではないか。病室には自分が今までプロデュースしてきたアイドルが自分を見守ってくれていて、成長したその人たちに最期を見送られたジャニーさんの人生はとても幸せだったのではないかと、ただの一ファンだけれど思ったりもする。

タイミングが重なって思わず泣いてしまったPrince Princessという曲は、まだKing & Princeがデビューされる前、岸優太くん、神宮寺勇太くん、岩橋玄樹くんの3名(Prince)の初のオリジナル曲で、キンプリの前身であるMr.King vs Mr.PrinceがそれぞれMr.KINGとPrinceに分割され、それぞれが3名での活動を余儀なくされた時、Mr.KINGがJr.のトップとして猛プッシュされる一方でPrinceは一時的に活動の量が減ってしまい、複雑な胸中を抱えていたPrinceとPrinceファンに初めて与えられた曲でした。この曲のサビの部分、ボロボロになっても〜の部分はジャニーさんがPrinceに与えてくれた歌詞で、ファンからもメンバーからもとても大切にされている曲です。

改めて、ジャニー喜多川さん、今までお疲れさまでした。アイドルを通してさまざまな素敵な世界を見せてくれて、本当にありがとうございました。
これからも、ジャニーさんの意思を受け継いだ方々が活躍される世界を楽しみにしています。

誰もがこの星の 大切な Prince Princess
未来は君の手に託される
ボロボロになってもダメダメになっても
立ち直れる君は Prince Princess 

誰もが空の下 美しい Prince Princess
扉を開くカギ握ってる
ボロボロの涙でビショビショになっても
立ち上がれる君は Prince Princess

Prince Princess - King & Prince (Prince)

King & Prince(初回限定盤B)(2CD)

King & Prince(初回限定盤B)(2CD)